成年後見制度の診断書は書かなくても問題ありません。後見か保佐か補助か自立かの診断は命にかかわることでもなく、緊急性もないので断っても応召義務に違反しないと思われます。
診断書の雛形の基準や定義が曖昧だし、財産問題に関係する事案が多いので紛争に巻き込まれるリスクも少なくありません。
患者以外の人、自治体、弁護士、家族等から依頼を受けて、患者自身の診断を書くことは契約上問題があります。患者に頼まれて診断するわけではないからです。頼まれていないのに診断し、お金まで取られたとなれば、後に問題が発生することは当然に予想できます。
診察室に患者さんが座ってしまってから断るのもバツが悪いので、予約段階で、仮に主治医であっても、精神科や神経内科であっても、「成年後見制度の診断書は書かない」と明言するのは合理的な対処策です。「患者さん自身から依頼があれば書けるかもしれない」、「画像検査の機器がないから診断書を書けない」と伝え、やんわり断るのも医師自身の身を護るための有効な一案です。