「改善」が認められれば、取り消しできます
後見を終身制から期間限定に変更・短縮してはどうか?という発想が注目され、国の審議会で議論されることになりました。必要な時に必要な後見ということで、15年ほど前に発案されましたが、終身制で売り上げを維持したい後見業者と、法改正を嫌がる法務省の都合で放置され続けてきた実状があります。
しかし、既に同様の仕組みは制度上用意されています。「取り消し」がそれで、亡くなる前に後見等を終わらせる手続きです。終わらせる手続きがあることを後見業界は国民に知らせてこなかった、実際、取消の資料をホームページに掲載しているのは神戸家裁くらいです。
取消には医者の診断書が必要です。 「やることが終わったから後見が要らなくなった」ということではなく「本人のアタマの状態がよくなったから後見を外す」という理屈で取り消しがなされるからです。認知症や障害は治らないと言われるなか、取消などありえないと思う人がいるかもしれませんが、取り消されている人は少なくありません。なぜか?当初の診断が事実より重かったからでしょう。福祉と同じで重い方が患者のためになると思っている医師が多いことも背景にあります。最近では、「やることがなくなったから後見不要」という理屈も通るようになっています。医師の皆様には、開始と取消を同じレベルで考え、取消診断に積極的に取り組んで頂きたいと思います。なお、取消の診断書は開始の診断書と同じ資料を使います。
後見の取り消しは民法第十条
(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。