【後見診断書】「事理弁識能力を欠く常況」とは常に能力がないこと

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本人が自分の言葉で説明できたら後見類型にはあたりません

 民法第7条では、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」 が被後見人にとなるとされています。保佐は「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分てある者」なので、「常況」つまり常に能力がないのか、「不十分」なのかが違いです。

 事理弁識能力=判断能力・理解力と置き換えられますが、明確な判断基準はないので「損得勘定」とした方が現実的かつ体的になると思います。

アルツハイマー型認知症患者の金銭管理能力を測定する米国のツールを見ると、そのニュアンスが如実に現れています。例えば、10ドル札と100ドル札を見せ、「どちらが高いですか?」と聴きます。100ドルを指せば、お金の価値をわかっていることになり、「損得勘定が欠く常況にある」、つまり後見にあたらないと考えるのが妥当です。

 このツールには、「友人にお金を貸してくれと言われたらどうする?」という質問もあります。長谷川式スケールやMMSEでは、実社会での判断能力を図ることは難しいでしょう。記憶力が落ちていても、社会的なことを全うに判断できる人は多いものです。日本版を作ってみようと思うのでご期待ください。自分の言葉である程度のことが言えば、後見類型にはあたらないと覚えておいてください。

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