後見人がどこまでやるか個人差大。良し悪しをチェックしよう

退院調整で来院するときも、退院するときも、患者さんに会わず、お金だけ払って後見人が帰ってしまう後見人がいる。精神病院の医師と話していたときに、これってどうなのという質問がありました。

疑問に思うのはごもっともですが、結論から言うと、制度上、後見人の行動に問題はありません。その後見人は、本人が病院に払うべきものを払っているし、患者さんに会わなければいけないという法律上の義務が無いからです。

退院したとはいえ患者さんは、後見、すなわち、お金に関することは、いつも、何も、わからない状態です。したがって、施設や自宅への移送は、家族が同行したと思われます。

仮に、家族が居なくて、誰も同行せず、患者さんが病院のロビーでポツンと放置されているなら、多少の問題があると言えるかもしれません。なぜなら、その行為や状態が、後見人の心得と言われるほど後見業界で有名な民法858条、「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない」に違反していると思えるからです。

しかし、患者さんに会わなかったことはもちろん、ポツンと放置されたことで、患者さんに経済的な損害が生じていないなら、民事上の責任は問われません。つまり、問題ない。

「精神障害の人は怖いからタクシーに一緒に乗りたくない」と言った後見人がいます。

「働くための職業訓練を受けたい」と言った患者に対し、「そんなことはしなくていい」と言った後見人もいます。精神障害を持った被後見人に、「へ~、字書けるんだ」といった後見人もいます。

 それらの事実から、「退院する患者さんに会わず、お金だけ払って後見人が帰ってしまった」としても何ら不思議ではありません。14年間、一度も、患者さんに会わなかった弁護士後見人もいます。ずっと入院していましたが、病院に、一度も来たことが無いのです。それでも、1000万円以上の後見人報酬をもらっていきました。

成年後見制度は福祉ではありません。制度上は、お金が絡むこと以外のことまで後見人に期待する方が間違っていると考えるのが正解です。後見人がどこまでやるかは、個人差があります。後見の杜では、後見人の良し悪しをスコア化するチェック表をつくって、公開しています。参考にしてください。

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