後見開始の診断書は書くけれど、なぜ取消の診断書を書いてくれないのか

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 裁判所から依頼があるという誤解

後見の杜では、「後見をやめたい」という本人・家族の切実な願いをかなえるためのお手伝いをしています。その際、大きな壁が診断書です。成年後見制度を使い始める時の診断書は書くけど、成年後見制度を取り消す診断書は書いたことがないから書けないという医師は少なくありません。

「裁判所から言われたら書く」という医師もいますが、裁判所が頼むのは鑑定書だけで診断書を頼むことはありません。後見を始める診断書を書くよう裁判所から言われる医師がいないように、後見を取り消すための診断書を書くよう裁判所から言われることはありません。

後見ほど悪くない診断書を得てから、裁判所に、後見の取り消しを求めることになっています。保佐や補助を取り消す場合も同様で、診断書を裁判所に出してから調査が始まり、必要に応じ、関係する医師に鑑定の依頼をする流れになっています。

(後見開始の審判の取消し)
第十条 第七条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人(未成年後見人及び成年後見人をいう。以下同じ。)、後見監督人(未成年後見監督人及び成年後見監督人をいう。以下同じ。)又は検察官の請求により、後見開始の審判を取り消さなければならない。

様式、記載内容は始める時と同じ

後見を終わらせる診断書は、後見を始める際の診断書と同じです。様式も、記載内容も、検査方法も同じです。別物という誤解は払拭してください。

病気が治りきっていないから後見のままとか、今は状態が落ち着いているけど今後どうなるかわからないから診断書を書けないという医師もいますが、これも正しくありません。病気は病気、お金に関する能力は能力、互いの相関を示す研究結果は皆無に等しく、始めるにしても終わるにしても、その時点での、お金に関する認識、理解、行為を評価するのが適当です。

入院患者さんで、例えば売店で買い物をしていれば、後見ではありません。後見の人は売店での買い物もできないからです。後見なら、自動販売機のジュースを買うこともできないし、家族に携帯電話で電話を掛けることもできません。逆に、これらができるなら後見ではないので、診断書では、一番下にチェックをするのは間違いで、下から2番目以上となります。

最終判断は裁判所がするので、誤解せず、臆せず、今の患者さんを診て、診断書を書いてください。

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