8割が専門職後見人、もはや家族問題と言えない
NHKの朝ドラ「虎に翼」では創設期の家庭裁判所が描かれていました。そもそも何故、成年後見制度は家事事件、つまり、家庭裁判所が仕切るのでしょう?
家庭裁判所は離婚、相続、養子縁組、後見など家族内のことを担当します。
成年後見制度が家事事件になってるのは、配偶者もしくは子供が、認知症なった人の後見人になるという慣習と運用があったからです。
ところが、昨年の統計を見てもわかるように、親族が後見人になるのは2割を切っています。家庭裁判所に対し、後見人の仕事を下さいということで営業登録している弁護士や司法書士に、家庭裁判所は8割の仕事を出します。特に、後見される人の財産が800万円以上あると、報酬を取れると言うことで、外注してしまうのです。
こうなると、家族が後見人になるから家事事件、という原則は既に崩壊していることがわかります。
成年後見制度を使う理由も、「家の財産を護る」という発想から、銀行取引や介護施設との契約や支払いを円滑にするという対外業務に様変わりしました。要するに、本人のためや家のためではなく、社会経済を回すための成年後見制度なのです。
このことからしても、成年後見制度はもはや家事事件ではなく、民事事件となっています。であれば、家庭裁判所ではなく地方裁判所案件にするのが筋なのです。
後見の利用開始についても、認知症になったからという原因で、家族が申請するのを辞めて、「このお客さんは面倒だから取引したくない」ということで銀行や施設が地方裁判所に申し立てをすればよいのです。
現在、法務省の審議会で、成年後見制度の見直しが行われていますが、今のところ、家事事件のまま、弁護士後見人が効率よく稼げる仕組みが検討されているとしか思えません。それに、自治体や法務局まで関与する雰囲気となっています。
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