【ぼったくり後見報酬】(上)法定後見の場合

目次

基本報酬は預貯金額に比例、5千万円あれば何もしなくても年72万円

法定後見人、すなわち、後見人、保佐人、補助人の報酬は、家庭裁判所が決めます。家庭裁判所は、後見人らが何をやったかというより、被後見人らが持っている預貯金額に比例して、後見人報酬を決めると考えてよいでしょう。

預貯金額が5000万円なら、特に何もしなくても法定後見人は月6万円くらいもらえるでしょう。被後見人の預貯金額が1億円なら、特に何もしなくても、年間140万円、10人やれば1400万円くらいの年収になると思います。

さらに、不動産を売ると不動産売却ボーナスが得られます。本人に代わって、「家を売って来て」と不動産屋さんに頼み、売れたら価格の2%程度が加算されます。1億の物件なら、200万円となります。不動産屋さんの手数料、すなわち、3%+6万円は別途かかります。

不動産も株も現金化したら基本報酬アップ、さらに付加報酬もゲット


保険や株を処分し現金に換えてもボーナスが出ます。

保険は、解約すると価値が格段に落ちます。また、20年目から月10万円支給されるような年金払いの保険なら、一気に現金化する必要はありません。しかし、保険があれば解約する後見人が多いのは、資産価値が落ちても、現金化することで自分がボーナスを得ることができる報酬運用があるからです。

株も同じです。配当があるのに、また、ほっておけば相続財産になるのに、「後見制度を使った以上、すべて現金化することになっているのです」とか「私は、お父さんの後見人だから私の判断でできるし、します、ご家族に指図される立場ではありません」などと言って、権利を乱用する利己的な後見人も散見されます。

定期預金にしたところで利息は二束三文、儲かるのは後見人と銀行ということになります。

なお、ケアカンファレンスに出てもボーナスはほとんど付きません。本人に会ってもお金になりません。なるほど、後見人は本人に関心が無いと言われるわけです。どうしてこの金額になるのかと、本人や家族が、後見人に言っても、「裁判所が決めたこと」と言って回答しません。裁判所に聞くと、「報酬は裁判所が決めることになっている、裁判所が決めた以上問題ありません」と一蹴されるでしょう。「どうしてこの値段なのか」と聞いているのにそれに回答しなくてよい法律が家裁と弁護士の癒着を後押ししているのです。

950万円の相続で「801万円」を報酬付与したとんでも家裁

添付は801万円の報酬が取られた実例です。資料を見ると、報酬対象期間は9か月、その間に後見人がしたことは、950万円の遺産をもらってきた来ただけでした。950万円もらって801万円取られているわけです。他例に比しても一桁多いので、おそらく一桁間違えたと思われます。この事案の弁護士後見人も「裁判所の間違いだと思う」と言っていたのに、「もらえるものはもらっておきます」と言って持って行き、裁判所に「間違えたでしょ」と家族が聞いても「裁判所が決めたことです」と一蹴されました。これが、法律で後見人と後見人報酬を定める法定後見の実態なのです。

法定後見を使ったらいくら取られるか試算してみたい方は⇒https://sk110.jp/simulator02/ をご活用ください。筆者が主任研究者を務めた厚生労働省科学研究のデータや裁判所が公表している資料を基に開発した報酬試算システムです。ピッタリとはいきませんが、およその金額を把握するための参考にはなると思います。

(後見人の報酬)
第八百六十二条 家庭裁判所は、後見人及び被後見人の資力その他の事情によって、被後見人の財産の中から、相当な報酬を後見人に与えることができる。
参考:「後見人等の報酬額のめやす」(令和4年2月 大阪家庭裁判所、同堺支部、同岸和田支部)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次