自治体関与の後見申立て、開示された診断書を見て酷すぎると激怒する家族

ここ数年、自治体が家庭裁判所に、「この人に後見人をつけてほしい」と申請するパターンが増えています。家族や本人に黙って裁判所に申請する自治体が急増しており、後に大問題となっています。

後見人が付いたことを知った家族は、「親が後見ほど悪いはずがない」と思い、裁判所に、自治体が出した診断書を開示するよう求めます。裁判所は、家族に診断書を出すことがしばしばです。

「何もできない」(=後見)とされた診断書を見た家族は激怒し、診断書に書いている病院を訪ね医師に事情説明を求めます。

親を他の高名な医師に診てもらい、後見ほど悪くないとか、(アルツハイマー型認知症ではなく)軽度認知障害という診断を得てから、「この先生の診断書はこうなっていますが、どうして先生の診断書はアルツハイマーで後見相当なのですか?」と詰問されるのです。

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民事訴訟や刑事事件となる可能性も


詰問された医師の中には、自治体に頼まれて書いた診断書を撤回し、自分が思った通りの診断書に書き直す場合もあれば、自分はその時そう思ったから書き換えないと意固地になってしまうドクターもいます。後者の場合、最近の患者さんはクールで強気ですから、他の診断書を根拠に、「ウソの診断書を書かれ、後見人がつき、後見人の報酬が200万円となったから、200万円+αを払え」という裁判を起こしてきます。

お金で済む民事裁判ならまだしも、虚偽診断書作成罪ということで刑事事件とする患者さんや家族もいます。こうなると、仮に、不起訴になっても、多く混乱をきたすことになるでしょう。診断書の内容を依頼した自治体は素知らぬ顔、「診断書を書いたのは先生ですから」と突き話します。

はめられたと思っても後の祭り、裁判にはドクターが弁護士を雇って臨まなければならなくなります。このような事案を目の当たりにするにつけ、「自治体が関与した後見開始案件に関与しないのが賢明な選択」と思うことしばしばです。ご参考ください。

成年後見関係事件の概況(歳晩所,令和5年1月から12月まで)
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