形式的キーパーソンの横暴の背景にエイジズム(高齢者差別)
2月16日、17日の2日間、都内で開催された「その人の思いに寄り添うキーパーソン講座」で、後見の杜代表宮内康二が「老年学に見る高齢者の生き方論」をテーマに一時間半の講義を担当しました。
家族に精神病院に入院させられ、出たいと言っても信じてもらえずにその間に親族に貯金を引き出されたケースや、特養に入ってしまった夫と一緒に有料老人ホームで暮らしたいという希望を法定後見人に費用が高すぎるという理由で拒否され、別々に暮らしたまま夫が亡くなってしまったケースなど、後見の杜が、“助っ人”として乗り込んでいった事例を紹介。
「法定後見等による形式的なキーパーソンは、厄介払いしたい役所や、支払いを確保したい病院、トラブルを回避したい銀行などのご都合主義が生み出している。まったく本人の意思を尊重しない形式だけのキーパーソンがまかり通るのは、根底にエイジズム(高齢者差別)がある」と指摘。本人との契約による任意後見は、真のキーパーソンとして必要な権限を 確保する手段であり、目的ではないと話しました。
最後は愛情と想像力、真のキーパーソンにチャレンジを
「ADLやIADLの維持はもちろん、地域生活や活動、QOD(Quality of Death)までトータルに考えるのが真のキーパーソン。最後は想像力と愛情。実践を通して、チャレンジしていってほしい」。講義をうけた人からは、後見制度について知ったつもりでいたが、こんなひどい実態があることは知らなかった。真のキーパーソンを目指していきたいなどの声が聞かれました。
「最期まで“伴歩(ばんぽ)”できる人材を養成していきたい」(一柳弘子理事長)、6月にも応用編を開講

同講座は、最期までその人らしく生きるを支える人・場・仕組み作りをミッションとしている一般財団法人一柳ウェルビーイングライフの新しい試み。「認知症やがん患者さんの思いをキャッチして最期まで“伴歩(ばんぽ)”できる人材を養成していきたい」と一柳弘子理事長は思いを語りました。走るのでは速すぎるので、一緒に歩く。だから、伴走ではなく、“伴歩(ばんぽ)”なのだそうです。第一期生は、医療や介護・福祉の現場にいる人や家族介護経験者、任意後見受任者など、どう寄り添えば良かったのかという悩みを抱える人が多かった。中には、家族の見送りを終え、一人でどう生き抜けばよいのかを学びたいという人もいて、ニーズは幅広くありそうです。講座は、2日間で、認知症や、癌末期の方の理解、パワーを生み出す話の聞き方などを学び、ケーススタディを行った。6月頃には、後見の杜・宮内監修による応用編講座を開催予定。