「知的障害のある子どもが未成年のうちに親がしないといけないことを教えて下さい」に答えます(上)

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「成年後見制度を使わないといけない」は間違った思い込み

今から20年から5年ほど前まで、知的障害をもつお子さんの親御さんから、「成年後見制度を使うタイミングを教えてください」と聞かれることしばしばでした。そのたびに私は、「お父さんが亡くなった時とか、お母さんが要介護になった時、と言われることが多いですが、本当はそんなことではない」と切り出ししていました。

そして、「専門的には、お子さんが世話になっている施設や、お子さんのお金を預けている銀行が、後見制度を使わないと、うちでは引き受けられないとか、お金を下ろさせないと言われたとき、となります」と説明します。

というのも、そもそも、成年後見制度が必要かどうかは、本人の状態を踏まえ、取引先が求めてくるのが通常で、法律にも、判断能力が不十分で、かつ、お金に関する判断能力が無い場合に、成年後見制度を使う、と書かれているからです。

実際の利用を見てもこのことは理解できるでしょう。知的障害の人は数百万人いるにもかかわらず、成年後見制度を使っている人は数万人に過ぎません。つまり、親御さんがいるから後見は要らないとか、費用さえ払ってもらえば後見は要らないと施設などが言えば、最重度の知的障害でも後見制度は要らないのです。

制度を使うタイミングより、メリットがあるかをよく考えて

さらに私は、親御さんに、「障害があるから後見という発想は捨ててください、それは完全に間違っていますから」と言い、「仮に後見人が付いて、お子さんがハッピーになりますか?状態が良くなりますか?お金が増えますか?外出の機会が増えますか?」、「後見人を付けてお子さんに何のメリットがあるのか、逆に言えば、後見人が何をしてくれるのか、きちんと把握していないのに、障害だから後見を付けなければいけない、そしてそのタイミングはいつ?と聞くこと自体がおかしいのです。」と締めくくってきました。

ところで、重度心身障害者の施設に講師として呼ばれ、「うちの子は重心なんです」と個別の相談に来られた親御さんの吐露を受け、「なんとかできないか」と私なりに模索し続けていました。法定後見が任意後見をしなかった罰というのはわかるけど、任意後見ができない人は法定後見しかないわけで、そんな不公平はおかしい」と思い続けていたのです。

親が本当にでしゃばらなければならない時とは、、、

そんなある日、突如閃いたのが、子どもが未成年のうちなら親(親権者)としてでしゃばれる、そのでしゃばりを使えば、親御さんの眼鏡にかなった人に後見業務を任せることができると思い立ったのです。
(次へ続く)

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