高齢者・障害者・その家族にとって、成年後見制度が不評な理由として以下の3つが考えられます。
・裁判所が、親族ではなく、弁護士や司法書士を後見人に選ぶから
・その弁護士や司法書士後見人の報酬が高額だから
・後見人が、本人のお金を、本人のために使わせないから
後見人は裁判所が決めます。そして、その人事に文句を言うことはできない制度になっています。裁判所が、親族を毛嫌いし、弁護士や司法書士を多用する背景には、後見人の業務管理をしたくない裁判所の都合があるといわれます。裁判所の都合と仕事が欲しい弁護士や司法書士の利害の一致があるわけです。
後見人の報酬は裁判所が決めるという法律(民法862条)があります。そして、その金額に文句を言うことはできない制度になっています。そもそも後見は家族が無料で行う制度設計上の原則があります。しかし、家族以外の後見人の増加により例外規定である有料後見が常態化してしまっているのです。
後見人の報酬は被後見人の財産に比例して裁判所が決まります。つまり、本人がお金を使うほど後見人がもらう報酬が減るのです。なるほど、お金はあるのに、温泉に行けない、洋服買えない、食事に行けないという被後見人が少なくないわけです。
法律が悪いのか運用が悪いのかはさておき、「現行法に対する違法性がなければ質が悪くても問題ない」という法曹界の考え方が利用者の感情を逆撫でし続けている現状です。