報酬額も契約、家族に頼むなら月1〜3万円
任意後見は頼む人と頼まれる人の契約ですから、いくらでやってもらうかも二人で決めます。法定後見同様、無料が原則ですが、それだとやる気が出ないとか頼みづらいということで、家族に頼む場合は月1~3万円が一般的です。後見を引き受けるNPO法人等の場合は月2~5万円、弁護士等は月5~8万円が多いようです。
要するに金額は決まっていませんが、月10万円以上と設定すると、任意後見契約を公正証書にする公証人から「それはちょっと高いのでは?」と言われることがあります。公証人は、私人間の約束を公にするだけなので、中身について口を出す立場にないのですが、かつて、高齢女性と弁護士の間で月20万円という任意後見契約があり、これを後に知った子供たちが「おかしい、そそのかせた」と問題となり、任意後見契約そのものが無効になった事件があり、それ以降、公証人業界で後見人の報酬は月10万円未満以下にしようという話になったと聞いています。
裁判所が付ける監督人、時給はなんと数十万円!
任意後見は、依頼者の判断能力が相当に悪くなり、取引先からも、「後見を使ってもらわないと対応できない」と言われて、しぶしぶ使うものです。公証役場で創ったものを家庭裁判所に提出し、後見人の業務をチェックする任意後見監督人を裁判所が付けて初めて、権限が有効になり業務開始となります。
そうなるまでは、上記の費用は掛かりませんが、始まると、契約書にある金額に加え、裁判所が付けてきた監督人(主に弁護士)に対する費用(監督人報酬)がかかってきます。この金額は裁判所が決めるし、決め方は公開されていないので、正確なことは誰も言えませんが、任意後見を頼んだ人の財産が5000万円くらいなら、月3万円で年間36万円、一億円ならその倍と考えておけば良いでしょう。親族が無料で後見をしても弁護士監督人は報酬を請求してくるので、納得がいかない親族後見人は少なくありません。
それもそのはず、監督人の仕事は、後見人が裁判所に出す数枚の業務レポートをチェックする程度で、所要時間も30分程度で済む場合が多いからです。これを年に2回するとしても実働1時間、つまり時給何十万円という高額バイトの様相なのです。全体として裁判所が楽をして弁護士が儲かる仕組みが随所にみられると言っても過言ではないと思います。