後見の利用をお考えの方

後見制度は一度使ったら、原則ご本人が亡くなるまで、本人のお金が家庭裁判所の管理下におかれます。後見人や監督人への費用が1千万円を超えることも少なくありません。
後見制度は最後の砦、以下を参考に軽率に利用することのないようご注意ください。

後見制度以外の方法

後見制度以外の方法の一例を提示します。

本人名義の銀行口座のキャッシュカードがあって、暗証番号もわかれば、
家族としてお金を下ろし、本人が使うであろうようにそのお金を使いましょう。

本人口座のある銀行マンと本人を会わせ、本人の気持ちを銀行マンに伝え、
お金を下ろしたり、キャッシュカードを作ったり、解約しましょう。

「不動産を売りたいという本人の気持ちはわかったので後見人無しで売買するよ」という
不動産屋さんを探し、不動産を処分しましょう。名義変更は買ったりもらった人がやればよい。

遺産分割協議書に、本人が署名し実印を押し、法定相続の割合で遺産を分けましょう。本人の実印がない場合、
本人からの委任状を取って家族が代理で、あるいは、本人と一緒に自治体の窓口へ行き、実印を作りましょう。

「後見なくてもいいよ」という施設や病院を探しそこを利用しましょう。

「後見なくてもいいよ」という弁護士を通じ、取引の相手方と交渉したり、裁判を起こし、具体的な課題を解決しましょう。

「その取引をしない」ことも視野に入れましょう。今、それをしようとするから、誰かに後見が必要ですと言われるのですから。
本当に今それをしないといけないのか、改めて考えてみてください。

後見制度を使う場合のコツ

後見制度を使う場合のコツと流れを紹介します。

認知症等があっても、まず任意後見を使ってみましょう。任意後見だと、
誰に、何を、いくらで頼むかを、自分たちで決められるからです。

ある公証人に「本人の意思を確認できないから任意後見は無理」と言われたら、別の公証人をあたってみましょう。
無理ではなく自分はしないという場合があるからです。公証役場は全国に約300カ所、公証人は約500名います。

どの公証人もダメなら、法定後見のうち一番軽い「補助」を使ってみましょう。
ついては補助の診断書を書けるかドクターに聞き、補助の診断が出たら補助の申し立てをしましょう。
保佐の診断が出たら保佐、後見の診断が出たら後見の申し立てをしましょう。

診断書を書いてくれたドクターが鑑定すると、安くて早くて正確な手続きになることが多いので、
診断書にあわせて「鑑定もできる」とドクターにチェックしてもらい家裁に出すとよいでしょう。

申立書類にある本人の財産目録の預貯金額は、合計500万円未満にしておきましょう。
それ以上あると親族が後見人になりづらくなるからです。後見人になってからきちんと書きましょう。

後見を受ける人の預貯金が多ければ、保険を買ったり、家族に贈与するなどして、
預金額を500万円未満にして後見の申し立てをするのも一案です。

家族内で多少のもめごとがあってもそれを申し立て書類に書くのは辞めましょう。もめていると思われると、
家裁は、家族ではなく弁護士等を後見人にするからです。

後見制度を使う前に、本人が遺言を書くのも一案です。
その際、遺言を書く日かその前後に、医者から「遺言は書ける」という診断書を取っておくと、
のちに誰からに遺言無効と言われても対抗できることが多いです。