障害者と成年後見

●はじめに

 私は、2002年頃から、後見制度に関わるようになりました。
 もともと高齢者問題を専門にしていたことから、高齢者後見に注力していましたが、ほどなく、障害者の親御さんから「障害者の後見にもっと注力すべき」というアドバイスを頂きました。

 それ以降、障害者や親御さんとの関りが増えるようになりました。親御さんから「うちの子を頼む」と言われるようになり、本人が親亡き後も自分らしく生活できるような仕組みを作ろうと無い知恵を絞り始めました。
 「うちの子に会って欲しい」「施設の人に後見の話をして欲しい」とあるお母さんに言われ重度心身障害者の施設を伺ったとき、最重度の息子さんとお母さんのやり取りを拝見しました。「この息子さんは成人しても任意後見できない」「日本にいる500人ほどの公証人のすべてがこの息子さんに意思能力があるとは言わないから」「でも、法定後見しか選択肢がないのはアンフェアーだよな」とつくづく思ったのです。

 その後、しばらくして「そうだ、親権を使えば、できるかも」と思い立ち、親御さん向けのセミナーのたびにそのアイディアを伝え始めました。平成25年頃と思います。

 その後、あるセミナーの時、あるお父さんが「それ、やってみたい!」とおっしゃったので、やってくれそうな公証人の先生を探すところから始めました。公証人が書いた論文を読み漁り、この人ならわかってくれるかもと思い、電話し、新幹線で伺いました。
 幸い、理解してくださり、親御さんにお伝えし、公証人のところへ数回通い、ようやく、両親が重度の息子さんに代わって、成人したお兄ちゃんに頼む、親権代理の任意後見契約ができたのです。これが私の中の第一号、時は平成29年でした。

 その後、親御さんたちの間で、いくつかのパターンができたようで、私なんかがやるより親御さんたちの創意工夫で開発していった方が良いものができると思い、私はたまに関わる程度で障害を持つ未成年者の親権代理の任意後見に関わってきました。

 その際、2つだけ、私が思っていることがあります。
 一つは、これは重度の場合に限られるべきで、重度以外の場合は子が成人したら自らで任意後見ができるのだから、親がしゃしゃり出るのは良くないということです。子は子で誰に後見人を頼むか決めるのがよいと思っているからです。
 二つ目は、この任意後見は、誰がこの後見人になるかわからない法定後見をブロックするために作るのであり、成人したからすぐに任意後見監督人の選任の申し立てを行い、任意後見契約をスタートさせるものではないということです。それほどに、今の法定後見は、親を含めた家族を否定し、見ず知らずの弁護士や司法書士を後見人に選んでしまうことが多いからです。

●障害者と後見(13分50秒)

 難しい内容を、わかりやすくお伝えするため、少し砕けた感じで、仲間と一緒に作りました。お聞き苦しい点があればご容赦ください。

●最近、問題になっている、障害をもつ未成年者の任意後見について

 障害を持つ子が未成年のうちに、親が、子の将来の後見人を決めておく方法は以下の2つです。

1.親が親以外の人(例 成人している兄弟姉妹、後見のNPO法人など)に後見を頼む方法
2.家庭裁判所から特別代理人を立ててもらい、その特別代理人とお父さんがお母さんに頼む方法、あるいは、その特別代理人とお母さんがお父さんに頼む方法

 これらに対し、以下の方法が散見されますが、現在の法律では違法につき、公正証書による契約書があっても無効(欠陥商品)と言われています。

3.特別代理人を立てずに、お父さんがお母さんに頼む、あるいは、お母さんがお父さんに頼む方法

参考:本件に関する公証人連合会からの通知

●子どもが未成年の場合の任意後見のパターン

 子どもが未成年のうちに、任意後見制度を使って、親御さんができるパターンをまとめました。

 まず、両親がいる場合とシングルマザー/ファザーの場合で大別します。
 次に、後見人を親にするか、親以外にするかで区別します。
 更に、お父さんとお母さんで場合分けします。
 すると、下記の大きく5パターン、全部で7パターンになります。

 3月上旬をめどに、それぞれのパターンの任意後見契約書のひな型を制作する予定です。
 ご興味ある方は後見の杜までお問い合わせください。

パターン:両親がいる場合
 1 両親が、子に代わって、親以外に頼む場合
 2 ①両親が、子に代わって、父親に頼む場合(※)
 2 ②両親が、子に代わって、母親に頼む場合(※)
 3 ①母親が、子に代わって、父親に頼む場合(※)
 3 ②父親が、子に代わって、母親に頼む場合(※)

頼む人/頼まれる人親以外父親もしくは母親
両親
母親もしくは父親

パターン:シングルマザー/ファザーの場合
 4 親が、子に代わって、親以外に頼む場合
 5 親が、子に代わって、親に頼む場合(※)

頼む人/頼まれる人親以外

備考:(※)は特別代理人が必要

●ことの本質について:提案

 今回の「追認」は事の本質に近づかないどころが、そこから離れてしまいます。追認作業は、親御さんやお子さんのためというより、それを売った業者さんやそれを良しとしてしまった公証人さんの自己弁護のためだからです。

 そこで二つ提案があります。

 一つは、法務省の見解が本当かどうか、お手元にある任意後見契約に関し、任意後見監督人の選任の申し立てを家庭裁判所に求めてみることです。「OKだよ」という裁判官がいるかもしれないからです。すると「追認すら無駄」だったということになります。

 もう一つは、以下のいずれかの状態を作るためにみんなで声を上げていくことです。
 1番:後見無しで本人が生活していく(親がいれば施設や銀行が後見を求めない)
 2番:障害を持つ子が成人しても親が財産管理権と身上監護権を継続して持ち続ける
 3番:親御さんが子の法定後見人になれるようにする(事前登録制の導入)
 4番:施設が子の後見人になる(これはそんなに難しくない)

 賛同される方は、「後見制度と家族の会」までお問い合わせください。後見制度を使い終わった、後見制度を使っている、障害者の親御さんが集まって、上記に関する活動を地道に展開し始めていますので。