厚生労働省で「後見制度と家族の会」発足記者会見

厚生労働記者会 御中

2021年6月28日
後見制度と家族の会
代表 石井靖子

「後見制度と家族の会」発足のお知らせ

 家族の後見人になっている方や家族に家族以外の後見人がついている方を中心に、全国26都道府県から104名の賛同者を得て、後見制度と家族の会を立ち上げました 。

 後見する側ではなく、後見される側の視点で、後見制度に関する知識や経験不足を補いつつ、後見制度の使い勝手について具体的に提言していきます。

 成年後見制度立法担当者であった小池信行氏(現在は弁護士)ほかの支援を受けつつ、会員主導で会を運営していきます。以後、お見知りおきのほど、よろしくお願いします。

【案件】「後見制度と家族の会」の背景、目的、活動内容について
【日時】令和3年6月28日(月)14:00~
【場所】厚生労働省会見室(霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館9階)
【出席者】代 表 石井靖子(父に弁護士成年後見人、広島県)
     副代表 白潟道子(母の任意後見人、神奈川県)
     副代表 畑幸一郎(亡父の元成年後見人、千葉県)
     副代表 市川 清(娘に弁護士の成年後見人と監督人、埼玉県)
     副代表 館山晴美(亡弟に弁護士成年後見人、東京都)
     支援者 小池信行(弁護士、元法務省・後見制度立法担当者)
     支援者 宮内康二(後見の杜代表)

●説明者のプロフィール

代表 石井靖子(父に弁護士成年後見人、広島県)50代
 ろうの父についた弁護士成年後見人と折り合いがつかない。
 帰宅したいという本人や家族に対し、施設にいた方がいいと後見人は主張。施設も、本人の手話から帰宅の意思は読み取れないと後見人に歩調を合わせる。故郷の福山市に新しい施設ができたからそこに移るといってもだめ。本人は「けんかになるから」とあきらめの様子で、淡路島の特養に現在も暮らしている。
 後見については、施設の弁護士が本人からの委任を受けて申し立てをしたというが、本人からの委任を示す資料は家裁にない。施設の弁護士に求めても提示しない。申し立てそのものが不当に行われた可能性もある。

副代表 白潟道子(母の任意後見人、神奈川県)50代
 不動産を所有する母の任意後見人となったものの、司法書士が作成した任意後見契約の内容が不十分かつ曖昧であったこともあり、任意後見契約を発効させて実務に入るや、資産の管理方針や報酬をめぐり弁護士後見監督人との関係が悪化。監督人から、異常に細かい報告を要求されたり犯罪者扱いされ続けた。
 5年間に渡り監督人交代を家裁に上申し、ようやく監督人が別の弁護士に交代。新しい監督人とはコミュニケーションも取れ報酬問題も解決したが、監督人によって運用が180度変わってしまう社会制度に疑問を抱いている。

副代表 畑幸一郎(亡父の元成年後見人、千葉県)50代
 父親の成年後見人をしていたところ、家裁から「後見信託か監督人のどちらかを選べ」と突如通知を受ける。後見事務は容易で、家裁から指摘を受けたこともなかったので、信託も監督も断ったところ裁判官から呼び出される。
 会社を休んで家裁へ行ったところ「問題があるわけではないが、私も定年だし、なんとかお願いできませんか」と言われ、合理的理由なしと考え改めて拒否。
 その後、家裁は、監督人として弁護士をつけたり、私から身上監護権をはく奪し別の弁護士成年後見人にそれを付与するなどしたが、いずれも、家事事件手続法に定められた手続き(本人への聴取)を踏まない横暴。父は亡くなったが、被後見人の利益を度外視し、親族後見人を不当に威圧する家裁の運用に怒りが消えない。

副代表 市川 清(娘に弁護士の成年後見人と監督人、埼玉県)70代
 妻が、知的発達症を持つ一人娘(昭和58年生)の成年後見人を5年間務めていたところ、家裁が弁護士後見人をいきなり選任し、妻は財産管理権をはく奪され、身上監護権のみとなった。
 その後見人から「家族旅行など行く必要ない」「障害年金を弁護士事務支所まで毎月取りに来い」「(娘が)健康になる水というが高額すぎるのでは?」など、これまでの家族史や生活を否定するようなことを言われ続け、その都度妻は必死の抵抗。見かねたのか、家裁は、監督人(弁護士)をさらに選任した。
 後見人や監督人や家裁に対するストレスのせいか、持病もない妻は、平成30年6月路上で倒れ急逝。
 妻に代わって、次の弁護士後見人がついた。後見人と監督人の報酬は年間70~80万円程度で妻から相続を受けた娘のお金から払われ続けている。後見人や監督人がついたことで娘に特にメリットはない。何のための誰のための後見制度か全くわからない。

副代表 館山晴美(亡弟に弁護士の成年後見人、東京都)50代
 亡父の相続をきっかけに、大学時代に精神障害を発症した弟の成年後見人に見ず知らずの弁護士がつく。その後、14年間、弟が急逝するまで、その後見人は弟と一度も会わなかった。「なぜ、1回も弟と会わないのか」と聞いても、病院と連絡を取っているから会う必要はないという回答が続いた。
 実家は相続で弟が引き継いだので、私は、実家に入れなくなった。弟から、「家にある宅建の免状を持ってきてほしい」と言われたので後見人に伝えてもなしのつぶて。それはそうで、私の知らないところで実家が売られていたからだ。家の中にあったものはすべて処分、弟が誇りに思っていた宅建の免状も捨てられていた。
 後見人が得た報酬は1000万円を超える。このような事実が本当にまかり通る制度なのか、会の中で正しい知識を得たい。

後見制度と家族の会の概要」

●設立の背景
 成年後見制度については、政府がその利用促進を展開し、主に社会福祉協議会において、後見人をつけるための事務支援や後見人養成講座が行われています。
 しかし、後見される側向けの具体的な情報提供はほとんどなく、後見制度の主役である認知症高齢者や知的・精神障がい者やその家族は、後見制度の利用を躊躇わずを得ません。
 現状を踏まえ、後見制度の利用者としての知識や技術を身に付けるプラットフォームとして、「後見制度と家族の会」を発足します。後見される側の視点で、後見制度やその運用に関し「聞く活動」「伝える活動」「調べる活動」「変える活動」を4本柱とし、後見の質の向上を目指します。
 会の発足については、後見制度を使ってきた家族を中心に、全国26都道府県から104名の賛同者を得ました。後見制度立法担当者であった小池信行氏(現弁護士)ほかの支援を受けつつ会を運営していきます。

●目的
 後見される側の視点で、後見制度の運用に関する事実や意見を発信し、後見制度の円滑な運用に資すること

●活動目標
 ①原則、親族が後見人になれるようにする
 ②原則、親族後見人に監督人がつかないようにする
 ③後見人や監督人が本人の意思を尊重するようにする
 ④後見人や監督人が家族の意向を加味するようにする

●活動内容

①「聞く」活動

後見で悩んだ人が、後見に悩んでいる人の話をうかがう。希望により、後見の専門家や弁護士等に打開策をたずねる。これにより「後見を使った後の相談先がない実情」を改善する。

②「伝える」活動

家族会の専用サイトに、後見に関する自分のエピソードを書き込み、会員同士で意見交換する。メディアと提携し、後見の実例を公表する。これにより「後見の実情」を世に伝える。

③「調べる」活動

後見される側の視点で、後見に関する個別事案の分析や、後見制度の利用者に対するアンケート調査を行う。これをもとに「利用者から見た成年後見の概況」を公表する。

④「変える」活動

家裁、自治体(後見中核機関)、後見士業団体などに意見する。これから後見を使う人に、後見制度の利用者マニュアル等を提供する。これにより「後見業界」を変えていく。

●会員の種類

家族会員:

親族や友人に、成年後見人・保佐人・補助人・任意後見人・未成年後見人がついている、ついていた、つくであろう個人

本人会員:

自分に、成年後見人・保佐人・補助人・任意後見人・未成年後見人がついている、ついていた、つくであろう個人

関連会員:

後見に関連する業務に従事する個人および会員

応援会員:

本会の目的に賛同し、会の活動を応援する個人および法人

●設立日 令和3年6月15日
●所在地 東京都足立区舎人5丁目4番11号

●役員

代 表 石井靖子(広島)

副代表 白潟道子(神奈川)

副代表 畑幸一郎(千葉)

副代表 市川 清(埼玉)

副代表 橘 説子(宮城)

副代表 高橋由江(東京)

副代表 杉本栄三(大阪)

副代表 館山晴美(東京)

●会の発足賛同者一覧

北海道 :  5名
秋田県 :  1名
宮城県 :  5名
山形県 :  7名
福島県 :  4名
群馬県 :  1名
埼玉県 :  8名
千葉県 :  3名
東京都 : 25名
神奈川県:  8名
静岡県 :  6名
岐阜県 :  2名
和歌山県:  1名
京都府 :  1名
大阪府 : 10名
奈良県 :  1名
兵庫県 :  2名
岡山県 :  2名
広島県 :  4名
山口県 :  1名
高知県 :  1名
長崎県 :  1名
福岡県 :  2名
佐賀県 :  1名
大分県 :  1名
宮崎県 :  1名

以上 26都道府県から104名

●初年度の重点活動

1.会を知ってもらう

内容:後見制度を使っている人や使おうとしている人に対する広報活動
方法:セミナーや相談会、家裁でビラ配布、自治体や他の家族会と連携、ほか
目標:会員年内300人
~「後見制度と家族の会の説明会&後見なんでも相談会」~
7月4日(日)TKP東京駅セントラルカンファレンスセンター12階会議室
7月10日(土)TKPガーデンシティ大阪梅田10階会議室
7月18日(日)TKP仙台西口ビジネスセンター6階会議室
問合&申込 後見制度と家族の会事務局03‐3760‐5200

2.同じ立場でやり取りできる相談員を育成する

内容:会員や非会員からの愚痴や相談を聞き基礎的な助言ができる人材の育成
方法:ズームや対面での教育+OJT
目標:3月までにすべての都道府県に1名以上認定し配置、4月から本格稼働

3.利用者目線で提言する

内容:8月から毎月提言する(今年は後見利用促進計画最終年度につき)
対象:家裁、自治体、後見人、家族、医師、など
方法:ホームページで公開、対象機関に手渡し、業界紙に寄稿、ほか

以上

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